今回は、感動の話を聞いたので紹介したいと思います。
これは、ある治療院のお話し。
雨の降りしきる夕暮れに1人の女性が来院されました。
その女性は70代位で、やせ形、髪は白髪で、とても上品な方でした。
その治療院は予約制のため、飛び込みで来られる方は非常にまれなので、ビックリしたと院長は話します。
「こんにちは」と挨拶をして、「どうされました?」と聞くと、女性は「いつもお世話になっておりました、○○の母です」との答え。
院長は、あっ! と思いました。
2ヶ月程前まで毎月2、3回は来て下さっていた患者さんの名前だったからです。
その患者さんは女性で、膵臓癌を患い、腰痛や腹痛など様々な痛みに苦しみ、少しでも楽になりたいと色々な整体などに通われて、当院には1年程前から来て下さっていました。(もちろん、病院の治療は受けておられました。)
最初の問診の時に、整体では癌は治らないこと、痛みの緩和にしかならないことなどを話した時に泣いておられた事が今でも目に浮かびます。
ただ、泣いておられた理由が悲しくてではなく、正直に話してくれたことが嬉しかったそうで、色々な整体に行ったけど、癌も治りますと言った先生や、通えば必ず改善しますと言う先生ばかりだったなか、正直に話してくれたのは先生だけで、自分でも整体で治るとは思っていないけど、嘘をつかれたり、変に希望を持たされるのが一番辛かったそうです。
院長は、お母さんの次の言葉で愕然としました。
「娘が7月2日に永眠しました」
うすうす覚悟はしていましたが、いざ目の前に突き付けられると…。
お母さんは続けます。
「娘は生前、先生に感謝をしていて、最後にありがとうございましたと伝えて欲しいと頼まれました」と。
それを聞いて涙があふれました。
お母さんは、「娘は、これからも沢山の人の支えになってあげて下さいと言っていましたので、健康に留意して頑張ってください。応援しています」と言って、一礼して帰って行かれました。
院長は、出て行かれたドアをしばらく眺めていたそうです。
我に帰り、外に出ましたが、お母さんは帰られた後でした。
雨の降りしきる中、深く一礼して、「こちらこそ、ありがとうございました」と自然と言葉が出たそうです。
整体は整体、病院やドクターには絶対にかないませんが、少しでも患者さんの支えになれたのなら、これほど嬉しい事はありません。
この世は一期一会、全ての出会いに感謝だと、つくづく感じた話しでした。